平均年齢76歳の「ナツメロ愛好会」
建部 徹 著

埼玉県の所沢市を中心に老人ホームや文化祭など精力的にボランティア活動をしているナツメロ愛好会という楽団がある。

平均年齢76歳の彼らは、懐かしいメロディーを聴く慰問者よりも年上ということもしばしばあるという。


私にとって流行歌は心を和ませる一つであった。

旧制中学時代に習い憶えた手風琴、そしてボタン式のクロマチックアコーディオン、更にピアノ式アコーディオンを(現在の形式のもの)そして今の高級アコーディオンを購入した。

戦前は父親にアコーディオンを買って貰いたくて再三頼んだが当時からこの楽器は庶民には手に入らなかった。そして父親は止むなく安い手風琴とハーモニカを買って呉れたのが私にとって音楽に入る動機となった。

昭和32年から定年迄務めた総合病院での職員旅行での演奏や、クリスマスの夜、看護婦を従えキャンドルサービスの時の小音での演奏。定年後、生れ育った東京を離れ、東京の玄関口である現在の所沢に移った。

海軍同期生が自宅附近に在住し、昔ハーモニカを吹いた事があると聞き吹かせたが、C調の曲目はどうにか吹けたので早速仲間にした。彼は70の手習いと自語し附近のハーモニカ教室に教習を受け、同年輩のハーモニカ好きの人も加わり、アコーディオン、ハーモニカ、コンガ、ギターのメンバーが集まった。

平成3年にナツメロブラザース楽団を編成、私が創立した関係上代表となり平成13年春、「ナツメロ愛好会」と改称した。

所沢市内、埼玉県内、東京都内の主に特別養護老人ホーム、老人会、自治会、市内の公民館の文化祭、市民文化フェア、市民フェスティバル、敬老会、誕生会その他に出演、老人会辺りから我が集団を知り出演依頼が多数入ってくる。

メンバーの平均年令は76才、最高年令者は80才、次いで79才、78才、77才、唯一の若手64才で練習も附近の公民館2館を利用し毎月3回土曜日を主体として行っているが、和気藹々で楽しく明るく励まし合って交際しているこの頃である。

人生にとって年齢を取ると交際が少なくなり自宅に籠り勝ちになり傾向だが吾々は年老いても益々栄んで、音楽を好き互いに仲良く演奏することで気持が若いということを自ら知ったのである。

今、病院や老人ホーム等では音楽を流している所が増えている。又音楽療法として医療面に取入れて効果を得ているという。音楽療養士の国家試験も検討されているという。

年を取れば心身共に衰えるのは道理だが、手足を動かしたり声を出したり語ったり多数の人と交わり交際することがボケの予防ともいえる。

吾々の楽団はナツメロが主体であるが為に、年々ナツメロが去りゆく特に集団の老人ホーム等で淋しく暮らしている人々へのサービス、ボランティア活動は誇りと思っている。

老人ホーム等では昔懐しいメロディーは憶えているが歌詞を忘れている人が多いのは当然だが、中にはチャンと憶えて歌っている人も居る。

ナツメロの演奏を聴き歌い乍ら夫々の悲しいこと、嬉しいこと、懐しさが走馬灯のように頭に浮び、涙を流し乍ら歌う老婆も居る。これ等の姿を見乍ら演奏する私も涙が止まらぬ事もある。

吾が楽団は市の社会福祉協議会にボランティア団体としての登録もしてある。又個人的には私は、所沢市と埼玉県の自治連合会長と埼玉県知事の感謝状を受けた。その他の役職も続け多忙な日を送っている。

吾々は雲流るる果てに散った戦友の為にも今後日本を守り背負う若者達の見本を示す為にも、吾が青春に悔無しだけでなく生涯青春の決意で残る人生を送りたいものである。

最後に何でも良いから希望を持つことである。勝負をすることである。之が年齢が高くなっても元気になる秘訣である。

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