

アースブラウン(出版)で自主出版された書籍は『ビタミンYOU』でご紹介します。
「おだしき日々」は国立国会図書館、日本現代詩歌文学館、自費出版図書館に納本されています。
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歌集「おだしき日々」「地中海」発表歌
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出版記念手記
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妻の誕生日一ヶ月前、長女夫妻と食事会をした折り、川に放たれた一匹の「ほたる」が私のもとにとまりました。これは、もしかしたら妻が・・・。
亡妻のすがたかわりしほたるかな
七回忌(平成十四年六月十一日)を前にこの歌集のまとめ役として長男拓也があたりましたので、母への思いを語らせます。
あなたの幸福とは一体何だったのか。あなたの短い一生のことを思うたび、私はいつもそれを考えます。そして私の考える幸せとは違う、透明な、穏かな幸せがあることを感じます。
そこで私が思い浮かべるのは「我が家」という言葉です。
あなたはよく私達の家庭や家族を他人に紹介する際には、必ず「我が家は・・・」ときり出しましたね。例えば「我が家はこの前旅行に行ってきました。」という時の表情は、いつも明るい笑みを浮かべていました。
あなたはこの「我が家」という言葉に、知らず最上の幸福の意味を与えていたのではないでしょうか。私はそれをくすぐったく感じ、ときに揶揄したくなったものでした。
私はあなたのいう「我が家」が、子供の成長によりいつか離散する日を持つことを承知した上で、それまでの期間、ひとつ屋根の下に住む幸せや、旅行を共にする喜びを至上の時とした、ささやかな願いとでも呼べるものだった、ということを知っています。
あなたは夫の転勤、二人の子供の一人暮らしといったことで、そのほんの小さな願い事すらなかなか叶えることができませんでした。しかし晩年、病と引換えにしてあなたは遂にそれを実現しました。
ある晴れた日、あなたと桜並木を散歩しましたね。通りを行く人の少ない昼下がりの芝の上にしばらくじっと座っていました。盛りを過ぎた桜の雲の下、陽の当たる明るい車道を散り落ちた花びらが風に巻かれていました。
春風に渦をまくがに散る花を芝生に座り吾子と見てゐつ
この春のひととき、あなたは幸せだったのでしょうか。私は、それが「おだしき日々」の一齣であったと信じたいのです。
(「おだしき日々」あとがきより抜粋)
「おだしき日々」は短歌雑誌『地中海』に投稿した歌も含め故人の七回忌にあたり出版されました。
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