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だるまちゃんよ!
高田 真理(高校2年)

くりくり頭にくるんとした目。ぽっちゃりほっぺの元気丸。
私はそんな弟がかわいくておもしろくてたまらない。

彼は私より六つ下の十歳で末っ子の長男坊。背はクラスで一番小さくて幼い。加えて父さん母さんはあまり弟を怒らない。

しかーし・・・世の中そんなに甘くはない。

私と三つ下のこわぁいお姉様方の小言に毎日耐えねばならぬ彼である。ちなみに私は大局様、妹は小局様として君臨しているのである。

そんな家庭環境で育った彼は、甘えん坊でありながら口が達者であり、自信家でありながらよく泣く。

「だるまちゃん」
そういうたとえが彼にはぴったりだと私は心の中で思っている。
もちろん彼には秘密だが・・・。

だるまはでーんとしていて、いかにも強そうで自信がありそうである。しかし意外に指でつんっとつついただけで、こてっとこけてしまう。っと思ったら、瞬きもしないうちにすくっと起き上がってきて、何事もなかったかのように再び居座るのである。

彼がこてっとこけたことは今までに何度あろうか。よく
「七転び八起き」
というがこの言葉はまさに彼を一言で語れる言葉だと思う。

自信満々でチャレンジ精神が旺盛すぎる彼は、幼いながら数々のメジャーデビューへの道を自ら切り開こうとしてきた。

生まれて初めてチャレンジしたのは何と歌手への道。
「お姉ちゃん、僕氷川きよしみたいな演歌界の貴公子になってあげるからね。そしたらお姉ちゃんたちも誇らしいだろう。」

そう言い残して出場したのど自慢大会。
「ああ、なんて姉孝行な弟よ。」
未来の貴公子の大局としての自分を想像しながら、にやつきがとまらなかった。

「あ、おかえり! 貴公子!」
「・・・・・・。」
「ど、どうしたの・・・。」
「・・・だめだった・・・。」

家ではあんなに練習していたのに、本番では緊張してガッチンゴッチンで予選落ちだったそうだ。私だったら泣きじゃくり、もう二度と歌なんて歌わないかもしれない。

が………、次の日、本番前の練習よりもヒートアップして今度はスマップの歌を熱唱していたのだ。

「ごめん。お姉ちゃん。ぼくジャニーズにするわ。」
そういっていたずらっぽく笑い、白い歯をにやりとみせた。

その後も
「お姉ちゃん、ぼく明日の将棋大会で優勝するかもしれん。そしたらほんまにごめん。お姉ちゃんの文化祭に行かれんと思う。」

「ぼくのカードは天下無敵だぁ。明日のカード大会は、まぁ間違いなく優勝すると思うよ。フフン。」
ってみんなに言いふらして出て行ったものの、結果は何と将棋大会もカード大会もことごとく「全敗」。九連敗したらしい。

私なら三連敗したくらいで、あきらめて泣きながら帰るかもしれない。しかし彼は最後まで望みを捨てなかった。負けても負けても勝負を挑み続けるその姿。ああ、弟よ。なんて勇ましい後ろ姿なのだろう。

彼は恋愛においても忙しい。多少チビデブではあるが、私に似て(?)なかなかのハンサムである。

昨年のバレンタインデー。
「○○さんがぼくにチョコくれるらしいよ。」

当日わざわざある女の子と遊ぶ約束をしたらしい。
「お姉ちゃんには分けてあげないから。」

そう言ってスキップで出て行ったものの、何と泣きながら手ぶらで帰ってきた。その女の子は彼には見向きもせず弟以外の彼の友だちにあげたのだそうだ。

さすがに悔しかったのだろう。しかし彼は強い。登校拒否になったり、友だちを憎んだりなんてしない。また次の日から校庭をかけずり回っていた。

そんなだるまさんのような彼に、ついに春はやって来た。
何度転び、何度起き、この時を待ち焦がれていたことだろう。

今年のバレンタインデー。
「好きです。」
生まれて初めてもらった本命チョコレートには、はっきりとそう書いてあった。

「ついにやったじゃないか! 弟よ!」
そう言うと恥ずかしそうに顔を赤らめ、チョコをこそっと後ろに隠した。

最近彼は謙遜することを覚えてきた。

しかし! 弟よ! 君に謙遜なんて似合わない。たくましいだるまちゃんよ! 何度転んでもつまずいてもいい。ズブトイだるま根性を私に見せつけてみよ!

                         

(広島県発信)

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