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心のいやしの居場所作り
吉田 ヨシエ

私は生まれついて今までいや、二年前まで五十二年間、心身共に弱くて誰かの傘の下でしか生きてゆけない情けない人間でした。

学生時代も短大卒業するまでイジメに遭い、学校も転校する直前までいったことも・・・。
それというのも超未熟児で生まれ、育つか死ぬかわからないため、過保護で真綿に包まれるように、育てられたせいかもしれません。

いずれにせよ両親を始め、周りの人々には大変な心配をかけて育ち、いまだ高齢の両親に安心を与えていない親不幸者です。

ところが一昨年主人の会社が不況のため、会社の社屋を売り払い、貸しビルで仕事をしなければならなくなったころから、しだいに主人の心の健康が蝕まれてきました。
それまで人一倍、働き者で会社の仕事をバリバリこなし、家も兼業農家だったので休日にはいろいろな野菜を作っては、家族の胃袋に収めてくれていましたし、趣味のパラグライダーもかなりの腕前。
国際交流も好きでツアーに参加せず一人で外国に出かけるほどの行動派でした。
こんな幸せはいつまでも続くのかしら?と不思議に思ったほど・・・。

やはり幸運の女神はいつまでも微笑んではくれませんでした。

主人はうつ病になったのです。
それに一つ歯車が狂い出すと悪循環を起こし、健康体が糖尿病を併発。さらに血圧上昇。
病が病を呼ぶのでしょうか。

とりつく島もないほど狼狽し、涙が枯れるくらい涙しました。
この病気を深く知れば知るほど、落ち込んでいきます。

主人がベットにひれ伏している姿を見ては、私も一緒にうつって暗いトンネルの中に立ち往生し、出口のない行き場のない闇に二人して捨てられた気がして、運命を呪ったりしたものでした。

悩むだけ悩んだら後は上昇するしかない。
ある日、ふとそんな気がしました。

それまで外へ出るのもはばかって、深目の帽子をかぶり主人の病をひた隠しに隠していたのですが、なぜか病気のことをはっきり言えるようになったのです。

そうすることによっていろいろな情報を得たり、良い病院を紹介していただきました。
その他同じように悩んでいる人のなんと多いことと思い、同じ傷をなめ合ってお互い救われ、苦しみから解放されたのです。

中でも一番助言として、私をとらえたことは環境を変えることでした。

幸い田園地帯に畑があるので、そこへ小さな癒しの小屋を建てようと企てました。
そうはいっても法的手続き、治安問題、それに予算、水道が引けないことろなので台所、トイレ等々、一つ一つ解決していくのは、まったくの主婦である私には産みの苦しみでした。

けれど問題が起こるたび、主人を必ず治すんだという強い信念が、私を支えてくれました。
実際、十年間うつ病で苦しんだ人が、環境が変わってすっかり治られたと聞いては直接訪ねて聞かせてもらったり、かかっている先生からも
「もしかすると治るかもしれません」と言われ僅かの望みを掛け、実行する気になったのです。

今まで難しい問題は、すべて主人任せだったので、一から十まですべて初めての経験。
せっかく積み木を積み上げても、ガラガラと崩れ振り出しに戻ったり、人に迷惑をかけてあやまったり、自身のない私のことだから頭を下げることしきり。

とにかくここまでコマを進めてきた私。

一人で建てて(もちろん予算は主人で、建てるのも大工さん)ですが

「ハイ、お父さん、どうぞここでゆっくり心休めてくださいね。
世の中のしがらみをすっかり忘れて!」

そういえる日まで、わたしはガンバル。
今、まだ現在進行中・・・。

今まであまりにも他力本願で生きてきた私ですが、ここにきて私は一家の主人になるのです。
人生長い道のり。
たまには私が主人の代わりをして、今までの労を知るように神が与え賜うた試練なのです。

時には不安と心配で脳がパニックになり、一睡もできない日々もありました。
でも、この苦しみもいつか生きて、喜びに変わるのです。
そして、もし奇跡的にも主人が治ったあかつきには、同じような苦しみを味わった人、又は末期ガンで苦しんでおられるホスピスのような、いやしの場としての役割ができればいいと思います。

畑では体に優しい野菜作り。
そして好きな草花を植えてもらい、一角にはいつも鎖につながれている犬を、放して遊べるスペースを作ってあげればいいな。

人も動物も、何もない鎖をはずした場が必要なのです。
生きているんだから、生まれてきてよかったと思える居場所作りに私は、全力を尽くしたい。

ちっぽけなちりの一粒のような私だけど、何か人のために役に立ちたい。
まるで地球の裏側から見るようになった私。
日の当たらない人に優しくなれた私。

これも主人の病のお陰と今、感謝、感謝です。

                         

(大阪府発信)

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