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35歳。四捨五入で40の大台をむかえようとしていた私の姉。
少し落ち込み気味だった彼女が、最近元気になってきた。
その原因は“エステティックサロン通い”のようである。
二浪して四年制大学に入ったものだから、同級生からは相手にされず、学校での恋愛経験は皆無だった。
年齢を偽って参加していたテニスサークルでも、干支をパンダ年などと言ってごまかしていたが、それがかえって命取りになり、ついたあだ名がオバタリアン。
今の大学生は女の一浪→「干支は内緒。」
二浪→「パンダ」という法則を課外授業で習っているのを姉は知らなかったのだろう。
結局4年間、彼氏無しで姉の大学生活は終わった。
我が家でも彼女の卒業記念パーティを厳かに行ったが、両親ともども、「ようやく嫁に行ってもらえる、かも。」と、ひそかに期待していたのを私は知っている。
さて、派手好きの姉、テレビ局に入社したのはいいが、さらに悲劇は続く。
激務の連続で化粧をするヒマもなく、おまけにショートカット、地黒、Gパン姿に、仕事場で彼女はすっかり男になってしまい、ますます結婚から遠ざかってしまったようだ。
そんなこんなで何年かたち、彼女の“彼氏いない歴”も、35年になってしまった。
本人はのほほんと構えていたが、あせったのは我々家族である。
「元気なうちに嫁に行ってほしい。」
両親は、はかなくも、そう願っていた。
しかし、本人は、仕事のことしか頭にない。
「もしかしたら姉は女であることを忘れてしまったのでは?」
私の中に疑問がわいてきた。
そこで両親と相談してある作戦を実行することにした。
その作戦とは、エステティクサロンの入会証をプレゼントし、姉が女らしくなるたびに、ほめまくるのである。
化粧をしたらほめちぎり、お洒落をしたらおだてまくった。
元来、お調子者の姉はほめたら、すぐにその気になるので、あっという間にエステにのめりこんでいった。
今までは、容姿に自信がなかったので、内面ばかりみがいて自信をつけようとしてきた姉。
中身さえ、しっかりしていれば、容姿なんて関係ないと思っていたのであろう。
しかし、本当のエステとは、心身ともに美しさを求めるものである。
心と身体、どちらかが欠けても、エステをしたことにはならないのだ。
そういえば、昨日、姉は花束を持って帰ってきた。
「自分で買った。」と、言っているが、そうでないことなんて、顔を見ればすぐにわかった。
どうやら我が家の心配のタネも、ようやく解決しそうである。
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