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引き継げ、元気
鈴木 隼人

「元気があれば何でもできる」といえば、元プロレスラー、アントニオ猪木氏お得意のあいさつだが、この猪木氏がかつて、リングの外で糖尿病と激しい闘いを繰り広げていたことは、あまり知られていない。

リングの雄姿を望む多くのファン、それに反するかのようにイメージ通り動かない己の肉体。

八方塞がりの中、入院中の深夜に、階段を一歩一歩上り下りし、先の見えない復帰に向けて、秘密のリハビリを続けていたという。

その後、病と仲良く付き合う方法を体得し、ファンの前に再びその雄姿を見せることができた。

引退後の猪木氏はマイクアピールと、闘魂注入と称す張り手のパフォーマンスが大受けで、昔以上の人気を誇っている。

剣豪、宮本武蔵は師匠を持たず、「我以外皆我が師」を主題として、修業の旅に生きた。

昆虫の食う食われるの生態、吹く風と一体となってやさしく揺れる柳の枝・・・
飽くことない彼の向上心は、我以外の全てから教えを見出だし、無限に何かを吸収し、剣に磨きを加えていった。

武蔵は小説やマンガ、映画にドラマと取り上げられ、剣の強さより、その生き方が人々の共感を呼んでいる。

俺は今どん底にいる。

退職後、独立して始めた仕事は不調を極め、彼女はいないし、友人は減る一方だ。

家も車も無い。

しかし、彼らからもらった元気がある!

人に元気を与えるということは、並々ならぬ活力が必要だろう。

元気とは、孤独の底からはい上がった人の特許のようなものかもしれない。

孤独を経たからこそ、自分自身はもちろん、他の人々を力づけるほどのパワーに満ちているのだ。

どん底の俺も、ここからが真の人生の始まりだ。

「元気があればなんでもできる」、「我以外皆我が師」。

この二つを胸に、深夜のリハビリや剣の旅と同様、ひとり、前進あるのみだ。

そして、いつの日か、俺も人々に元気を与えていきたい。

猪木氏と武蔵に元気をもらった。力が湧いた。

元気とは、人に与え、人に引き継いでいくべきものなのだから。

                         

(東京都発信)

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