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扁平足だからかなあ私? 走っても走っても、いつだってビリっけつ。
何年か前の町民運動会の時に、出場者不足で頼まれて走り幅跳びに出たことがあった。もちろん無理だからって胸を張って言えたのに「頭数が足りないからお願いね!」のひと言で、私はその場に取り残された。
そんなことができるはずはない、だって私は「亀」なのだから。
学生時代なら誰もが知っていたはずだが、ことに町内の人は見た目で判断してくれるので困ったものだ。如何せん私は、筋肉質なだけでスポーツが得意なわけではないのだ。
係りの人が旗を上げたので、前の人を見習いつつ助走し、激しくジャンプ! やっぱり尻もちをついた。私としては、それだけでも十分に恥をかいたはずなのにまだ続きがあった。幅跳び担当のおじさんに「真面目に助走してください!」と強い口調で、おとがめの一撃だった。
「バカ言っちゃいけないよ、こっちは亀なんだから!」と言ってやったら、どんなに気持ちいいものかと思ったがそうはいかない。何せ顔はたまたま知らないまでも所詮は狭い町内の人、引き際だけでも鮮やかにとその場退散。
それ以来、私は益々スポーツが嫌いになってしまった。これだけの屈辱を浴びながらもスポーツが大好きだ、なんて言える人がいたら会ってみたいものだ。
ところがまたしても前方に、うさん臭い「亀」の姿発見だ。
次はどんな「亀」がいるのかと思えば、今度は走るのが苦手でも球技ならと、町内のバレーボール大会に出場すると言う。まさに開いた口がふさがらないとはこのことか。
スポーツ音痴は承知済みにも関わらず、好奇心旺盛過ぎる傾向にあるらしい。言うまでもなく足手まといも承知の上だ。練習にもまめに出掛けて行ってるわりには、上達の色らしきものもないまま大会当日が来た。が、私としては余裕である。
なぜなら、こんな私でもスターティングメンバーに選ばれ、いい気になっていて天狗状態だったのだ。それでも無難にさえ終わってくれさえすれば何の問題もなかったのに、試合が始まるやいなや、私は相手チームのボールを受けようとして肩を脱臼してしまったのだ。お陰で試合は中断するは、救急車は来るはで大騒ぎになってしまった。
私は注目の的「穴があったら入りたい!」とばかり、にわかに穴探しだ。
この脱臼の痛みときたら半端な痛みではない。救急車が来てタンカが私の脇に来ようとも、体を動かすことができないのだから乗れるはずがない。
なんとかコートから這い出して壁際の方でうずくまっていた。私は動けず脂汗ダラダラだったので、同じチームのお母さん方が涙ながらに心配しくれた。中には締め付け感は良くないだろうと、私のブラまで外してくれちゃったりするものだから困り果てたものだった。
しかしその経験は、私が球技にも及ばない「亀」であることを痛感させた。そんなこともあって、私はスポーツ界から一切足を洗い? 歩むべく道をただ淡々と? 歩めばよいものを、またもや怪しい行動を開始した。
私は気づいてしまったのだ。運動会にしてもバレーボールにしても「チーム」だから駄目なのだ、人に迷惑を伴うことがプレッシャーになるのだと言うことを。
そこでたどり着いたのはマラソンだった。ランナーなら「亀」でも「おかめ」でも結構だろう。自分1人の世界に文句も迷惑もない。私は早速ロードレース出場を決意し、もはや申し込み済みだ。
3キロ・5キロ・10キロの3種目があり無論、私が完走するには3キロしかないだろう。申し込みを終えてから1ヶ月が過ぎようとしている。
私は雨の日でも、朝晩欠かさずランニングに励んでいる。レースまで残りわずか。いよいよコースになる道路に垂れ幕が飾られ始めた。
背番号が決まり「選手」なんて呼ばれると、何だか自分が「亀」であることを忘れてしまっている。後は神に祈るだけ?じゃないか?私はきっと達成するぞ。
スポーツ大嫌いで生きてきた42歳・女&バツ2&夫育てる愛娘11歳の母。だけど、そこいらのおばちゃんとはわけが違うよ! かつて運動会で私を真面目に走れと言ったお方? マラソンデビューする私を見てらっしゃい!
ビリっけつだから頑張れる、先行く皆のお尻を比べつつ、どこまでもついて行けば良いのだ。そうすればコース外れることもなく、ゴールまで必ずやたどり着けることの安心感と、つけ加えて人並みの達成感が得られるのだ。いいじゃないか「亀」だって。
ロードレース、ビリっけつのランナーに告ぐ「走れ!走れメロス? 君たちより後行く亀がいる!」「もし振り返る余裕があったなら後ろを見て!」とろとろ走る最終ランナーが、カメラ目線と余裕の笑顔で走っているよ。
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