水泳のある暮らし
樹久田 明輝

壁の大型防水時計の長針がついに1回転しました。
「やったぞ!休まず1時間泳げたぞ」

と小さな感激を覚えながらプールの真ん中で立ち上がり、右手を広げて親指と中指の先を両耳の下に当てました。けい動脈のあるところです。指先にドッドッドッと激しい鼓動が伝わってきます。手首の脈より分かりよい。

プールサイドのパネルタイマーで10秒間の鼓動数を数えて6倍します。
つまり、1分間の鼓動数が分かります。

「ウム!120か、絶好の体調だ」
ともう1度感激しました。休まず1時間泳げる体力と気力の“在庫”がまだあったことに感激したのです。

私の場合平常時の鼓動数は毎分60ですが休まず1時間泳いだとあとは120がベスト体調です。
クーリングダウン(整理体操)を兼ねて、超ユックリズムで飛び込み台の方向に向けて泳ぎ出しました。

私にとってこのときが至福のときです。
全身がもみほぐれ、血の巡りがよくなるのが分かり、あちこちの臓器が活性化し元気と健康の手ごたえを感じる時です。

ここは市営の屋内プールです。ウィークデイの午後、開館と同時に入場しますとちびっ子たちもまだ下校前で、プールには暇な奥様たちがちらほら程度で混雑していませんし、プール特有の湿度もまだ充満していなく、乾いた床板が足の裏に心地よく感じます。

シャワーを浴びるとストレスも一緒に洗い流されていく思いです。
水泳に取り組むようになってから慢性の偏頭痛、肩凝り、痔が解消し、表情も自分で分かるほど明るくなりました。
そして“高気圧”の日々が続くようになり、高齢者特有の不機嫌な表情でなくなりました。

子育てを終えて掌中の珠を失ったような表情をしている妻にも、水泳を教えましたら高血圧と冷え性が解消し、今では血圧の降下剤はどこにしまったか忘れていますし、また所帯を持ったころからガンコな冷え性で就寝する時は湯たんぽをしてソックスを2枚履いても足が温まらず、明け方にちょっとまどろむだけでしたので、いつも寝不足で朝から不機嫌でしたが、水泳を教えたら一年後に冷え性が解消し、今ではスリッパに素足で台所に立っていることがあります。

また、結婚記念日を中心にあちこちの国内旅行をしましたが、妻は乗り物酔いに悩まされて遠くに行けないでいましたが乗り物酔いも解消し、今では飛行機でも船でも乗り物の種類も選ばなくなりましたので、遠くに行けるようになりました。

今では妻も水泳のとりこになり、旅行先を決めるときは目的地にプールがあるか、もしくはプールのあるホテルを選んでいます。
ちなみにプールがあるくらいのホテルは、その他の設備や規模の面でも一流です。

 健康と元気の買い物

プールの入場料とロッカー料は「健康と元気の買い物」の代金だと思っています。

現代は何でも売っていますし、金さえ出せば何でも買えますが「健康」と「元気」はどこにも売っていません。自分で自分の体にコツコツ貯めるしかありません。

元手は根気だけだと思っています。

                         

(岩手県発信)

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